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『caos insurrecto -カオス インスレクト-』 サイドストーリー



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笑顔 【クレマシオン編】

○蝶のアジト・レマとシェリーの部屋

 レマとシェリーはアジトで情報解析中

 カタカタとキーボードが叩かれる音と、西洋の音楽が響いている

 レマ、手を止める

レマ  「……ねぇ、シェリー?」

シェリー「どうしたの? レマ」

 少し間

シェリー「…もしかして…何か悩みでもあるの?」

レマ  「どうして分かったの…?」

シェリー「どうしたもこうしたも、顔に書いてあるよ? 『私…悩んでます』…って」

レマ  「そ……そんなかしら…?」

シェリー「うん! あたしが保証する!!」

レマ  「保証されてもねぇ…」

シェリー「大方、あそこにいる子たちのことなんじゃないの?」

レマ  「……そう」

シェリー「最近また増えた……よね?」

レマ  「ふふっ…………バレてたか」

シェリー「当たり前だよ〜」

 シェリー、自分のベッドへ移動、座る

 隣のレマのベッドに置いてあるぬいぐるみを手に取る

シェリー「このぬいぐるみでしょ? 3日くらい前からじゃない?」

レマ  「ふぅ…ホント、シェリーには敵わないわね」

シェリー「まぁ、あたしも可愛いものは大好きだし。レマには負けるかもだけど」

シェリー「名前はもうつけたの?」

レマ  「ナットよ」

シェリー「へぇ〜。…おいこらナット! お前はあたしからレマを奪った罪で処刑する!」

シェリー「……な〜んてね、えへへっ」

レマ  「処刑したら、今度はナットを処刑した罪で、シェリーを処刑するわよ?」

シェリー「うわわわ〜こわ〜い!」

レマ  「ふふふっ……!」

シェリー「あはははは!」

シェリー「要するに、捨てるっていう選択肢ははじめからないわけだ」

レマ  「そんなの当たり前でしょ?」

シェリー「…ねぇ、レマ」

レマ  「なに?」

シェリー「ずっと、ずっとね、レマに聞きたいなってことがあったの」

レマ  「聞きたいこと? …私が可愛いもの好きについて?」

シェリー「というより、ぬいぐるみが…特に、そのクマさんを大切にする理由というか…」

レマ  「あぁ……まだ、話していなかったわね」

 レマ、椅子から立ち上がり自分のベッド移動、座る

 ボロボロのぬいぐるみを抱きかかえる

シェリー「ティセラちゃん…だったよね」

レマ  「そう。私を…支えてくれていた子よ。だいぶボロボロでしょ?」

レマ  「私の家は、暗殺業で生計を立てていたの」

レマ  「両親は、私をとても愛してくれていたわ。だからこそ、私は友達を作ろうとはしなかった…」

シェリー「…どうして?」

レマ  「常に危険と向い合わせなのよ。暗殺をするって…誰かの大切な人を、この世界から葬るってことじゃない?」

シェリー「あ……」

レマ  「誰かの恨みを買って当たり前で、いつ復讐という名の怒りを胸に、その誰かに襲われるか知れない。それに…誰かと友達になって、大切になって、その子が……なんて子供ながら考えたのよ。そうしたら怖くなって…」

レマ  「だから、私は…」

シェリー「ぬいぐるみを、友達に選んだんだね」

レマ  「そう…」

レマ  「両親にお願いしたら、喜んで買ってくれたことを、今でも覚えてるわ」

レマ  「そのことで、私に辛い思いをさせていると…2人も色々悩んでいたみたい」

レマ  「そして…この子を差し出された時…泣いたこと、母親が…お母さんが私を抱きしめてくれたことも…よく、覚えてる」

シェリー「レマ……」

シェリー「この子は、家族の思い出…そのものなんだね」

レマ  「……そうね」

 シェリー、レマの抱えているぬいぐるみをなでる

シェリー「レマを守ってくれて…ありがとね、ティセラ」

レマ  「シェリー……」

シェリー「ありがとね、レマ。教えてくれて」

レマ  「いいのよ。私も、何だか話してすっきりしたわ」

レマ  「いけない、もうこんな時間……!」

シェリー「そういえばママに呼ばれてたんだっけ?」

レマ  「そう。急がないと…!」

シェリー「うん。いってらっしゃい!」

 レマ、ティセラをそっと置くと急いで部屋を出ていく

シェリー「…そう言えばあたし…レマの過去ってあんま知らないんだ…」

 シェリーの携帯が鳴る

シェリー「ん…? この着信音……」

○それから数日後、蝶のアジト・レマとシェリーの部屋

 レマはPCで作業中

 シェリーはどこか楽しそうに資料を広げて情報整理中

シェリー「ふふ〜ん♪ ふふふ〜ん♪」

レマ  「ふふっ、なんだか今日は機嫌が良いわね、シェリー」

シェリー「えへへ、そうかな?」

レマ  「そんな鼻歌まで歌ってて、そうかな? なんて言われても説得力ないわよ」

シェリー「あははっ、そうだよね」

レマ  「何かあったの?」

シェリー「んーとね……」

 コンコンとドアノックの音

レマ  「はい」

メンバー「レマ宛てに荷物が届いてるわよ」

シェリー「きたきた♪(レマに気付かれない程度の声で)」

メンバー「一応危険物チャックは通したから。早めに取りに来て」

レマ  「えぇ…ありがとう」

メンバー「じゃ、確かに伝えたわよ」

 メンバーが去っていく音がかすかに聞こえる

レマ  「私に…荷物……?」

シェリー「早く取りに行こうよ! さっきのイズラでしょ? また怒られちゃうよ?」

レマ  「そうね…」

○蝶のアジト・荷物置き場

 隙間風が音を立てている無機質な倉庫

 ドカンと段ボールに包まれた荷物が置いてある

レマ  「……随分、大きいわね」

 シェリー、歩み寄って持ってみる

シェリー「…む……結構重い……っ」

レマ  「私も持つわ。シェリーは左側をお願い」

シェリー「うん!」

○蝶のアジト・再びレマとシェリーの部屋

レマ  「差出人の名前はなし。…でも、間違いなく私宛てみたいね」

シェリー「チェックも通ってるみたいだし、開けてみなよ、レマ♪」

レマ  「………朝から随分楽しそうだったわよね、シェリー」

シェリー「うっ……!」

レマ  「さては、シェリーの仕業ね」

シェリー「えへへ、とにかくほらほら! いいから開けてみてよ、レマ!」

レマ  「もう……困った子ね……」

 レマ、紐を外し、段ボールを取り外し、

 荷物を開けていく

 中身が露わになったところで、レマの手がとまる

レマ  「……あ」

シェリー「もしかして、忘れてた?」

シェリー「今日、レマの誕生日だよね?」

レマ  「かわいい棚……あの子たちのための棚ね…」

レマ  「サイズもぴったり…ちゃんと置けるように幅が計算されてる。名前まで掘られて……あら?」

 一枚の紙切れがひらひらと地面に落ちる

シェリー「えへへ」

レマ  「(紙切れを拾って)…これ、もしかして…」

シェリー「多分、レマの思ってる通りだよ」

レマ  「…ふふっ、まったく…」

レマ  「嬉しいこと、してくれるじゃない…」

 両手で紙を大切そうに抱くレマ

D   『誕生日、おめでとう―――D』

レマ  「D……」

(END…)

(*この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません)

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