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『caos insurrecto -カオス インスレクト-』 サイドストーリー



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笑顔 【ディミオス編】

○髑髏のアジト・Dと刹那の部屋

 D、1人で銃の解体整備中

 カチャカチャといじる音だけが響く

 D、突然思い出したように手を止める

D   「……しまった……」

○回想・数日前訪れたいつものバー

 ピアノのゆったりとしたクラシックが流れている

レマ  『ごめんなさいね、急に誘って』

D   『別に構わねぇよ。任務、終わったんだろ』

レマ  『えぇ、無事にね。…Dに任務があった話してたかしら?』

D   『シェリーだよ。レマのこととなると、あいつも心配性だからな』

レマ  『あぁ……まったくあの子ったら…』

D   『とか言って、まんざらでもねぇ顔だな』

レマ  『ふふっ……そう?』

 レマ、グラスに口をつける

 Dも一口

レマ  『ねぇ、1つ…聞きたいことがあるんだけど…いいかしら?』

D   『なんだ』

レマ  『Dって、誕生日いつなの?』

D   『誕生日? あー……11月生まれだが…それがどうかしたのか?』

レマ  『ううん、何となく…知りたかっただけよ』

D   『そうか』

レマ  『ほらD、グラス空いてるじゃない。注ぐわよ』

D   『ん、あぁ…わるい』

レマ  『ふふっ…』

○回想終了・髑髏・Dと刹那の部屋

D   「あいつの誕生日…聞くの忘れた…」

D   「…別にいいっていやそれまでだが……」

D   「…………」

D   「…シェリーに聞いてみるか…」

 携帯を取り出し電話

 数回コールが鳴り、シェリーが出る

シェリー『ほいほーい、シェリーだよ。どしたの、D?』

D   「今、平気か?」

シェリー『うん、大丈夫だよ。レマもいないし』

D   「そうか……丁度良い。レマのことでちょっと聞きたいことがあってな…」

シェリー『レマのこと? あたしが知ってることなら良いよ』

D   「その……レマの誕生日を、だな」

シェリー『あははは! またDにしては随分唐突だね。何かあったの?』

D   「…この前レマに飲みに誘われた時に、同じことを聞かれてな…答えたはいいものの…」

シェリー『聞き返すの忘れたんだ』

D   「……」

シェリー『そんなムスッとしないでよ! 実は、レマもうすぐなんだよ、誕生日。多分本人忘れてる可能性大だけど』

D   「もうすぐ…」

シェリー『…ねぇ、D。何かレマにあげる気…ある?』

D   「…もうすぐだって聞いたら、渡さねぇ訳にはいかねぇだろ。いろいろ世話になってるしな」

シェリー『あははっ。じゃあじゃあ、レマが今欲しがってるもの、あたし何だか知ってるよ? 聞きたい?』

D   「なら」

シェリー『その代わり! あたしもDに質問、していいよね?』

D   「……答えられる、範囲でならな」

シェリー『やったぁ! じゃあ後で落ち合わない? 長い打ち合わせになるからさ、絶対!』

D   「長い? …まぁ別に構わねぇが……」

シェリー『そうと決まれば…18時に例の場所でいいかな?』

D   「あぁ、分かった」

シェリー『一杯奢ってね♪』

D   「お前…」

シェリー『じゃあねー!』

 ブツ、ツーツーツー

 D、しばし携帯を見つめる

D   「……ったく」

 D、電源ボタンを押して通話を停止

D   「…確かに、あの態度じゃレマも自分の誕生日とか忘れてそうだな」

D   「誕生日……か」

D   「この世界に生きてると、自然と忘れちまうもんだよな…」

D   「言われて思い出した俺は……いや」

D   「とっとと整備おえねぇと…遅れたら2杯奢らされる」

 再び部屋にカチャカチャと整備の音が響く

○翌日の髑髏アジト・Dと刹那の部屋

 カンカンカンと釘を打つ音

 木の板で何か作っている

刹那  「D……何やってるんだ」

D   「見りゃわかんだろ。棚、作ってんだよ」

刹那  「それは、わかるけど。俺が言いたいのは、その…かわいらしい装飾は何だとか、何用の棚なんだとか…」

D   「ちょっとした(釘を打つ)物置き用だ」

刹那  「……そうか。…じゃあ、俺はまた出かけて…」

D   「刹那」

刹那  「……何だ?」

D   「近々、気ぃつけろよ」

刹那  「…? …何にだ?」

D   「その時がくりゃ、わかるさ」

刹那  「変なDだな。…行ってくる」

 刹那、部屋を出ていく

D   「ぬいぐるみを置く棚なんて…そうそうねぇだろ……」

 釘を打つ音、数回

D   「ったく…こんな特技が役に立つ日がくるたぁ…思わなかった」

D   「…とりあえず堀りを早く始めねぇと間に合わねぇし…おおざっぱに形だけでも、先に組み立てちまうか」

D   「組み立て1日…装飾…2日、整形に1日…ハードにもほどがあるっての…でもまぁ…」

D   「あいつのために…ひと肌脱ぐとするか」

 釘を打つ音が響く

○それからさらに数日後・街中

 D、歩きながら携帯で話しをしている

D   「わかった。いろいろすまんな」

D   「あ? それはお前も見てのお楽しみだ」

D   「…ん? あぁ、来週のその日は…偵察じゃないか?」

D   「あぁ、恐らくな」

D   「お前…まぁ、俺からは何も言わねぇけどよ」

D   「あぁ」

 携帯を切る

D   「ひとまず…区切りだな」

○髑髏のアジト・Dと刹那の部屋・夜

 刹那の姿はない

 D、PCの前で情報収集中

 キーボードの音はせず、クリックの音が響く

 携帯が鳴る

D   「……レマ?」

D   「Dだ」

レマ  『こんばんわ、D。今…いいかしら?』

D   「あぁ、どうした」

レマ  『もう、大方わかってるんじゃないの? 届いたわよ』

D   「そうか。 どうだ、ちゃんとサイズ…あってたか?」

レマ  『えぇ、全部ぴったりよ。よくシェリーの身ぶりだけで再現したわね』

D   「そうか」

レマ  『Dにこんな才能があったなんてね。 装飾も…職人級じゃない』

D   「ま、俺も披露する日がくるたぁ、思ってなかったけどな」

レマ  『ふふっ……D、ありがとう』

D   「……あぁ。大事にしてやれよ。お前の宝物たちをな」

レマ  『えぇ。この棚と一緒に、大切にするわ。それじゃあ、また飲みましょう』

D   「あぁ、また」

レマ  『ふふ…じゃあね』

 通話終了の音

 D、電源ボタンで停止

D   「…たまには、いいもんだな」

D   「さて…俺は事後に備えるか…」

D   「もう一幕…残ってるしな。刹那」

 D、刹那の席を見つめる。

(END…)

(*この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません)

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