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『caos insurrecto -カオス インスレクト-』 サイドストーリー



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笑顔 【シェリー編】

○蝶のアジト・レマとシェリーの部屋

 レマが出て行ったばかり

 部屋にはシェリーのみ

シェリー「…そう言えばあたし…レマの過去ってあんま知らないんだ…」

 シェリーの携帯が鳴る

シェリー「ん…? この着信音……」

シェリー「ほいほーい、シェリーだよ。どしたの、D?」

D   『今、平気か?』

○とあるバー・夜

D   「……ぬいぐるみ用の、棚ねぇ……」

シェリー「ちょうどDから電話が来る前に、その話してたんだ。でも実際そんな特殊すぎる棚なんてなかなかないでしょ?」

D   「まぁ、普通に考えりゃ…ねぇな」

シェリー「そーなんだよねぇ…。だからあたしも聞いたはいいけど困っててさ。」

D   「……おいシェリー。ぬいぐるみの数とか、名前、大きさとか…覚えてるか?」

シェリー「えっ? 名前とか種類なら全部覚えてるよ? 大きさはこんくらーいって、手振りでくらいならなんとかなるけど…どして?」

D   「…………家具とか作んのが得意なんだよ、俺は」

シェリー「はっ? すっごい不器用そうなDが?」

D   「うるせぇ。……だから今教えろ。何とか、誕生日までに作ってみる」

シェリー「Dの手作りか……えへへ、了解♪ じゃあ今ざざっと説明するね」

 時間経過

シェリー「…と、今ので全部だけど……大丈夫?」

D   「結構持ってんな……」

シェリー「じゃなきゃ悩んだりしないでしょ?」

D   「……それもそうか。じゃ搬送の件とか出来たらまた連絡する」

シェリー「OK! さて! 次はあたしが質問する番だよ? 良い?」

D   「あぁ、何だ」

シェリー「刹那の好きなものって何か知ってる?」

D   「あいつの好きなもの?」

シェリー「そぅ。ヌルフェで助けてもらったでしょ? こう…もっとちゃんとしたお礼がしたくて」

D   「なるほどな…。いいぜ、あいつの好きなものは……和ものだ」

シェリー「わ……もの?」

D   「日本独自のものって事だ。例えば…和柄とか、あいつ漢字も好きだな」

シェリー「……もしかして、刹那が太刀使いなのって…」

D   「そういうことだ」

シェリー「なるほどねぇ……和ものかぁ。なんかこれまた意外って感じ」

D   「和風のものなら大抵は喜ぶはずだ。まぁ、いろいろ調べてみたらどうだ?」

シェリー「……。ねぇ、今後、刹那の行動、逐一聞いて良い?」

D   「は?」

シェリー「だって、予定知らないと作戦練れないでしょ? よろしくね♪ じゃ、あたしはこれでー!」

 シェリー、バーを急ぎ出て行く

D   「……逐一、な」

○蝶のアジト・レマとシェリーの部屋

 シェリー、PCの画面を真剣な様子で見つめている

レマ  「どうしたの、シェリー? さっきから……」

シェリー「ん? あぁ…実はね。刹那にちゃんとお礼がしたいなーって思ってて、それで……」

レマ  「ふーん、それで調べ物って訳ね……(PC画面を除く)和服? 刹那って和服が好きなの?」

シェリー「何か日本製のもの全般的に好きみたいだよ?」

レマ  「……何か意外ね」

シェリー「あたしもそう思った! ……あれ、なんだろうこの服…かわいい……!」

レマ  「どれ? …あぁ、これは振袖ね。」

シェリー「ふりそで?」

レマ  「確か……成人式っていう20歳を祝う日に、女性が着たりするもので有名だった気がするけど…」

シェリー「へー、じゃあ男性は?」

レマ  「男性は……こっちの、袴を着るんじゃなかったかしら? 最近はスーツが多いみたいだけど」

シェリー「へー。レマ、詳しい!」

レマ  「数年日本で過ごすとわかるわよ。時期になるとそういう子が街に溢れかえるから」

シェリー「……これ、刹那と一緒に着たいな。それで、一緒に記念写真撮りたい!」

レマ  「シェリー……でもね私たちは」

シェリー「……それでも、撮りたいの。どうしてだろう、刹那とは、撮りたいなって思う」

シェリー「刹那…喜んでくれるかな?」

レマ  「……全く困った子ね。撮る日が決まったら私に言いなさい。撮影くらい、してあげてもいいわよ」

シェリー「レマ……もー、レマ大好きー!!」

レマ  「こ、こら! いきなり抱きつかないの、もう……ふふっ」

○それからさらに数日後・蝶のアジト

 シェリー、携帯で会話中

シェリー「うん、ちゃんと受け取ったよー。チェックの方通るはずだから心配しないで。誕生日には間違いなく届くから」

シェリー「で? 出来栄えの程はどうなの?」

シェリー「えー、もうDのケチ! あ、ところで来週の土曜の刹那の予定、知ってる?」

シェリー「とか言って、実際はフリーで街をふらふらしてるんでしょ?」

シェリー「よし! じゃあ刹那捕獲作戦はその日かなぁ♪」

シェリー「えへへ、Dも結果を楽しみにしててよ。それじゃ、また!」

 携帯を切る

 レマが入ってくる

レマ  「どうだったの?」

シェリー「うん、大丈夫そう。……というわけで……」

シェリー「来週の土曜に決行しまーす! その名も……」

シェリー「刹那捕獲、誘拐作戦っ!!!」

レマ  「怪しさ120%な名前ね…それ」

シェリー「今適当につけたんだもん、そのままって感じだし……そのままって怪しい?」

レマ  「微妙にね……」

シェリー「んー、まぁ気にしないってことで! さ、準備しないとだよ、レマ!」

 シェリー、部屋から出ていく

レマ  「楽しそうね、シェリー……ふふっ」

○とある街の裏路地

 シェリー、携帯で会話中

D   『今さっきビルから出るって連絡があった。3番街の裏路地に行け。おそらくそこを通る』

シェリー「ありがとね、D!」

 通話を止める

シェリー「……よし!」

刹那  「さて……次は…………ん?」

シェリー「やっほぅ。」

刹那  「シェ……シェリー……!? どうしたの? 俺に、何か用?」

シェリー「とっても用だよ! だから……つべこべ言わずについてきなさーい!!」

刹那  「うわっ……ちょっと、シェリー……手! ど、どこいくの!?」

シェリー「内緒内緒! ほら、早く!」

刹那  「だから……手、そんなに引っ張らないでくれ……!」

○とあるホテルの一室

シェリー「はいこれ。紙に着方も書いておいたから、見て着てみてね!」

刹那  「これって……袴か……?」

シェリー「お、さすが和好き! やっぱり知ってたんだ」

刹那  「……どうして俺が和ものが好きって……まさかDから……?」

シェリー「えへへへ♪」

刹那  「近々気をつけろってこの事か……」

シェリー「ほらほら、急がないとお楽しみ時間がなくなるんだから早めにね! 私も隣の部屋でちょっとチェンジしてくるから!」

刹那  「……チェンジ? ……とにかく、俺はここで袴を着ればいいのか?」

シェリー「うん! 楽しみにしてるからね!」

 シェリー部屋を出ていく

刹那  「袴……ちょっと憧れだったんだよな……さて、着方の紙は……これか。まずは……」

 1時間後、ホテル刹那の部屋

 ドアノックの音

シェリー『刹那ー着れた?』

刹那  「あ、あぁ……」

シェリー『じゃ、入るね』

 ドアが開く

 シェリー、顔だけドアから覗かせる

シェリー「おぉぉ! かっこいいよ刹那! よかったぁ……色も似合ってる、うんうん!」

刹那  「あ……ありがとう。……シェリーは、なんで入ってこないの?」

レマ  「先に私が入ってカバーかしら? 久し振りね、刹那」

刹那  「……っ! レマか……ああ、久し振りだな」

レマ  「もう、本当にシェリー以外に対しては素っ気ないわね」

レマ  「まぁいいわ。シェリー、そろそろ入ってきなさい」

シェリー「う、うん……。ど、どうかな……」

刹那  「…………」

シェリー「……刹那?」

刹那  「あ……いや………あまりに綺麗で言葉が。……着物、凄く似合ってるよ、シェリー」

シェリー「ありがとう……刹那」

レマ  「…ちょっと妬けちゃうわね…。さて! 記念撮影、早くはじめるわよ」

刹那  「…記念、撮影って……待て、俺たちは」

シェリー「分かってる。分かってるけど……どうしても刹那と撮りたいの! ……ダメ?」

刹那  「……」

レマ  「これはシェリーなりのヌルフェの件のお礼なのよ。もちろん、ネガ自体はUに預けておくつもり。許可も取ってるわ」

シェリー「写真自体はあたしと刹那が1枚ずつ持つだけで…いざとなれば燃やせばいいと思う……」

レマ  「刹那こそ、欲しくないの? 貴方とシェリーをつなぐものを……」

レマ  「こんな立場の私たちだからこそ……ね」

刹那  「……シェリーは、それを望んでるのか?」

シェリー「うん。何かだんだんお礼っていうより、あたしのわがままになってきちっゃたけど……ね、あははは」

刹那  「君のその姿を永遠に……か。欲しくないと言えば、もちろん嘘になる」

シェリー「……刹那」

レマ  「ふふっ……どうやら決まりのようね。さぁ、早く並んで! 笑顔でね!」

シェリー「やったぁ! あ、はいチーズだったら刹那も笑顔になるかな?」

レマ  「大丈夫よ。今のままでも十分、楽しそうにニヤニヤしてるし」

刹那  「レマ……っ!」

レマ  「ふふっ……いくわよ!」

シェリー「ピースっ! ほら、刹那も!」

刹那  「ピ……ピー……ス?」

 写真撮影の音

シェリー「あははははっ! ぎこちなさすぎ刹那! レマ、もっかいもっかい!」

刹那  「ピース……ピース……」

レマ  「ふふふふ……ほら、刹那。自然にピースよ、自然に」

刹那  「自然に……」

シェリー「腕組みしちゃお♪ えいっ!」

刹那  「……っ!」

レマ  「あら良い表情。そのままよ!」

シェリー「えへへ♪」

 写真撮影の音

(END…)

(*この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません)

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