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【第7章】 『ようこそ池袋へ(前編)』 (池袋サンシャインDAY・5)

○(回想)サンシャインシティ 地下研究所 廊下

館内放送「音響デバイスアルゴリズム研究班の村木主任、至急地下B棟にお越し下さい…」

正樹を呼び止める武

「(歩み寄り)正樹、正樹ー。」

正樹「ん?ああ、武」

「久しぶりだね。そっちの方はどう」

正樹「ああ、おかげさまで順調だよ。武が作ったモジュールのおかげだ。これでサンシャインシティと時計台の同期はうまくいくと思う」

「ごめんな。僕がもう少しそっちに出入り出来ればいいんだけど、こっちがなかなか手を離せなくて」

正樹「いや、心配するな。…それより、かなりやつれたな、大丈夫か?」

「平気平気。極秘だから詳しいことは話せないけど、どうしても僕の力が必要なんだ。もうひとふんばりしないと」

正樹「…力のこと、本部に話したのか?」

「まぁね。でも、隠す必要はないと思う。だって、僕の力が役に立つんだ。それで人が豊かになるんなら願ったりかなったりだよ…あ、それでね。ちょっと海外に行ってくる」

正樹「海外に?」

「うん。プロジェクトの本体が海外にあるんだ。日本じゃ実験が難しいんだってさ」

正樹「そうか。1人で大丈夫か?」

「平気平気。3年もあれば完成する。そしたら正樹に一番早く見せてあげるよ」

正樹「そいつは楽しみだな。途中で根をあげるなよ?」

「そっちこそ、僕がいなくてもめげるなよ?お互いにがんばろう!『人の想いが技術を育てる』」

正樹「そして、『技術が人を豊かにする』…さぁ歩もう、」

正樹・武「『輝ける明日へ』!…あはは!」

笑う二人。

正樹の声「どうしてあの時。俺は武を止められなかったのか…」

○サンシャインシティ 時計台(夜)

ビル風吹く時計台の屋上。対峙する二人。

「やぁ、久しぶり、正樹」

正樹「武…生きていたのか」

「いや、実際ひどいめにあった。思い出すだけで腹が立つ、あちこちいじりやがって、モルモットかい僕は!ああもう。…ともあれ、また会えて嬉しいよ、正樹」

正樹「そのワリには、洒落の効かない招待状だったな」

「アルテミスのこと?いや、自分でも挨拶にしてはやり過ぎかなぁと…反省。でも君ならあれ位簡単だったろ?」

正樹「(結局あんなに助けられたから苦々しく)…まぁな」

「うん、間違いない。やっぱり君は、天才だ」

正樹「買い被るな。俺は天才じゃないぞ。お前のような力もないしな」

「だからこそ、だよ。自覚ないの?君には力がある。事実、僕の課題をクリア出来たじゃないか?正直言って羨ましかった、僕にはない力だ。生まれもって与えられた力じゃない、時と環境に柔軟に対応し、答えを手繰りよせる力。そんな君の力が、欲しい。力をかして欲しいんだ」

正樹「…何を考えてる?」

「素敵だと思わないかい、ここから見る景色は?近代的なビルが立ち並び、明かりが絶えない。その内部は日本で、いや世界でも指折りのハイテクノロジーに満ち溢れている」

正樹「そうだな。…そしてここには人がいる。豊かになったこの場所で、時には出会い、時には癒され、時には救われる」

「でもここは邪な想いの上に成り立っている。たくさんの人が騙され、犠牲になった。僕を含めて」

正樹「進んだ時間は戻せない。だが見守ることは出来る。歪んだ歯車だけ取り除き、直せばいい」

「ひとつ、簡単な方法がある。なかったことにすればいい。ここで起こったこと、これから起こること、すべて」

正樹・武「だから、壊すのさ。『輝ける明日のために』」

「…ふふ。想いは同じ、でも道が分かれたね。さようなら正樹。…いけ、アポロン!」

襲い掛かるアポロン改

○石本の屋敷 大広間 作戦会議(夜)

アルマーニ「若頭」

石本「おう、あんなちゃんは?」

アルマーニ「泣きつかれて隣の部屋で寝てます。アルテミスがついてますが」

石本「そうか。…さてさて、正味なところこれから何をどうしたらよいか…ふうむ」

広間のふすまが開いて、山崎が顔をだす。

山崎「ごめんなすってー?若頭ー?いるかしらー?」

石本「おう?乙女塾の?こんな夜更けにどうしたい?」

山崎「聞いちゃったわよう。なんだかマサちゃん、えらいことに巻き込まれてるわねぇ?」

石本「お前さん、どこでその話を?」

山崎「どこで?っというかこの黒いのから、ほっ」

首根っこを捕まえていた黒服(エプロン的なもので縛られている)を中央に放り投げる山崎。

SP1「ぐはっ!がほっごほっ」

アルマーニ「こいつは!さっきの黒服!」

山崎「なんだか知らないけどー、サンシャインシティの専属部隊だとか?マサちゃんに関わりがあるところを手当たり次第あたってたみていでね、うちの店にも押しかけて来たわよ?…まったく、うちの娘たちが怖がるからやめてほしいのよねぇ」

SP1「き、きさま…こんなことして池袋に居られると思うのか…」

山崎、SP1の首根っこを掴まえて

山崎「ああ!?もっぺん言ってみろ!キンタマ串刺しにして焼いちまうぞ?ああ!?」

SP1「ひ、ひいいぃ…やめてくれぇ…」

アルマーニ「…こええ」

遊人「いったい何者だよ…このオカマ…」

山崎「あら、はしたない(SPを落とす。SP「ぐはっ」)…こほん。それでね、こいつらが探してるのってアルテミスちゃんみたいよ?」

石本「アルテミス?…中川の先生じゃないのか?」

山崎「うーん。ちょっとややこしくてねぇ。…どうやら、サンシャインの時計台が誰かに乗っ取られたみたいなの。それでアルテミスが奪われて、元関係者であるマサちゃんが共犯だと疑われたみたいよ?」

石本「…ほう?」

山崎「それで、ここからが本題。どうやら…そいつは池袋中に爆弾を仕掛けたらしいわね」

遊人「ばば、ばくだん!?」

山崎「…その爆弾の起爆装置に時計台のシステムを使ったみたいなのよ。きっとその誰かもサンシャインシティの関係者ね。他にシステムを動かせるのはアルテミスだけ。あの娘がいないと自分たちは何もできない。だから、あの娘を取り戻そうと必死になってるみたいね」

アルマーニ「…待ってくだせえ!それじゃあアルテミスがいないと時計台は!」

山崎「爆破されちゃうかもね…恐らくそこにいるであろうマサちゃんごと」

アルマーニ「そいつはいけねえ!早くアルテミスを連れてかねえと!」

石本「…そいつは難しいな。サンシャイン中に黒服の連中が張ってるんだろ?流石にそいつらの目を盗んで時計台まで辿りつけねえさ」

アルマーニ「そんなら!真っ向突破で行きやしょう、若頭!」

遊人「だ、だめだよ。そんなことしたら警察に捕まっちゃうよ」

アルマーニ「ああ?」

遊人「…だ、だってあの人形には盗難届けが出されてるんだよ?」

アルマーニ「そこはそれ、お前さんの権力で」

遊人「あ、あそこは本庁の息がかかっているので…僕の力では…」

アルマーニ「…んあ?(じと)」

遊人「なんだよー!しょうがないだろー!?縦社会なんだからさぁー!」

石本「…が、まぁ、お巡りのおかげでサンシャインのやつらも表立った動きが出来ないんだろうな。条件は同じか」

山崎「かと言って、大人しくアルテミスちゃんを黒服に渡したらマサちゃんの身が危ないわね」

石本「ん?」

山崎「だって、あいつらマサちゃんがアルテミスちゃんを隠したと思ってるんでしょ?あの娘が戻ってきたら時計台にいるマサちゃんは即刻用なしよ?」

石本「…ふーむ…まいったな。八方ふさがりか…何か良い手はないものか…考えろ、考えろ、石本、ふうむ…」

広間中に携帯の着信音が鳴り響く(間抜けな音希望)

アルマーニ「ああ?誰でい!?空気読めや!」

石本「…すまん、俺だ」

アルマーニ「あ、え、いや…すんません、どうぞ」

遊人「くくっ」

携帯をとる石本

石本「あ…もしもし?ああ、町内会の、どうもお世話になってます。…は?はぁ…ああ、いえ、ちょっと今夜は取り込んでましてね、すんません、ええ…じゃあまたいずれ」

携帯を切る石本。

アルマーニ「どなたですかい?」

石本「町内会の会長さんだ。夏祭りの片付けが終わったんでこれから一杯やるけどどうですかって。…申し訳ないが、今は祭りどこじゃ……ん?まてよ…そうか!祭りか!使えるな!おう、アルマーニ!今すぐ若いもんつれて自治会所行け!あれ借りてこいや!」

アルマーニ「へぇ!…へぇ?あれですかい?」

石本「あれだよあれ。今からやるんだよ、祭りをよぉ」

山崎「…!なるほど。木を隠すなら森ってやつ?」

石本「そうよ。あえて堂々と騒いじまえば日陰もんは手も出せねえさ。雑司が谷と時計台は乙女ロードで繋がってる!幸いこっちには乙女ロードに顔が利く署長さんもいるしな」

遊人「へっ?僕?」

山崎「おもしろくなってきたわぁ…うちの娘たちもアルテミスのこと好きだから喜ぶわよぉ。さぁさぁ連絡しなくっちゃ、わくわく」

遊人「ちょ、君達…またよからぬことを…」

石本・山崎「ふふ、ふふふ、ふっふっふ」

遊人「ああ…僕お腹いたい…」

隣の部屋で覗き見していたアルテミス。襖を閉じてあんなの傍に座り、

アルテミス「あんなちゃん…起きて、あんなちゃん…お話があるの」

(To be Continued…)

(*この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません)

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チョンチョンチョン
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